人は「朝に目を覚まし夜になると眠る」というリズムを毎日繰り返しています。
実は「睡眠」にも似たようなリズムがあります。
睡眠は「ノンレム睡眠」と「レム睡眠」という質が違う2つの睡眠が1セットになって約100〜110分周期で一晩に4〜5回の波が繰り返されるのです。
1.レム睡眠〜カラダを休息させる睡眠〜
レム睡眠は眼球の動きが見られる「浅い眠り」で、脳波にも覚醒時と同じような脳波が見られます。
大脳の記憶を整理・情報の再編成を行い、翌日の頭の回転を良くし作業の能率をアップさせます。
レム睡眠中、脳は活発に動いていますが、体は筋肉を弛緩させゆすったぐらいで起きないほど良く寝ています。
レム睡眠はノンレム睡眠後の10〜20分くらいで、この時期に良く夢を見ます。
正常な「睡眠」ではノンレム睡眠とレム睡眠が交互に規則的に発生し、一晩で4〜5回は繰り返されています。
◆レム睡眠時の行動◆
・悪夢を見る
(悪夢の殆どはレム睡眠中の情動夢であると言われています)
・寝言をいう
(ノンレム睡眠時よりも感情がこもっていて夢の内容と一致します)
・金縛り
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2.ノンレム睡眠 〜ココロ(大脳)を休息させる睡眠〜
ノンレム睡眠とは、簡単に言えば寝始めてすぐに入る「深い眠り」のことで、大脳は機能を停止し休息を取ります。
「ノンレム」とは<non-REM>のことで、「REM=rapid eye movement」つまり「急速な眼球運動がない」という意味です。
さらに「ノンレム睡眠」は脳波の変化によって、<うとうとした眠り、浅い眠り、中くらいの眠り、深い眠り>の順に4段階に区分されます。
ノンレム睡眠は1時間〜1時間半ほど続きます。
◆ノンレム睡眠時の行動◆
・歯軋り(浅い眠りの時にもっとも多く起こる)
・いびき(浅い眠りでもっとも多く、深くなるにつれ弱まるか止まる)
・子供の夜驚症(最も強い恐怖感を伴って目覚めるのは深い眠りの時)
・夜尿(ほとんどが第1周期の中くらい〜深い眠りの時に起こる)
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つまり「睡眠」には、
・カラダとココロ(大脳)の両方が休んでいる「深い睡眠」
・ココロ(大脳)は活動しているがカラダが休んでいる「浅い睡眠」
があるということになりますね。
ワンポイントコラム
※金縛りについて
「入眠時幻覚を伴う睡眠麻痺」とも呼ばれ、
(1)動けない
(2)しゃべれない
(3)不安や恐怖感を伴う
(4)胸の上に何かが乗っかっている感じ
(5)誰かいるような気配
などが体験されます。
金縛りの発現率は男性で約40%、女性で約50%といわれています。
初発年齢のピークは女性が15歳、男性が17歳で性差が見られます。
金縛りはストレスや生活リズムに乱れを背景にして、入眠直後にレム睡眠が起こってしまうことが原因です。
普通はノンレム睡眠の後に続いて起きるはずのレム睡眠が入眠後10分たらずで起こり入眠時幻覚と麻痺を引き起こしやすくなるのです。(このようなレム睡眠を「入眠期レム睡眠」と言います)
同じ「入眠期レム睡眠」でも金縛り体験の無い時と比べると、金縛り体験は比較的意識水準の高いレム睡眠で起こっています。
レム睡眠では骨格筋の緊張が低下しているので、体を動かそうと思っても動きません。また、レム睡眠特有の鮮やかで情動時な夢も見やすいです。
覚醒水準が高いと自分は目覚めていると感じ、この覚醒感が脱力を麻痺夢を幻覚と印象付け、現実性を伴った恐怖体験を形成すると考えられています。
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眠りとホルモン
ここまでのお話で、人は眠ることによって「ココロとカラダの休息をとるんだ」ということがお分かり頂けたと思います。
しかし、実は眠りには「ココロとカラダの休息」以外にももう一つ大きな役割があります。
それが、眠ることによって体内で起きている「ホルモン分泌」です。
「ホルモン」とは、カラダの恒常性の維持に重要な役割を果たす物質の総称で、甲状腺や松果体、副腎といった器官からカラダの機能を正常に近い状態でバランスさせる能力を持っています。
良い睡眠をとるとカラダの中では様々なホルモンの分泌が活発に行われ、昼間の活動で傷ついた細胞や組織といったものを修復する能力が高まります。
逆に言えば、良い睡眠が取れなければいかにカラダのために良い食事をしたりサプリメントを取ったり運動したり何かの治療を受けたとしても、その効果を発揮するカラダの準備が出来ていないのと同じ事なのです。
睡眠に関係するホルモン及び睡眠中に分泌が促進するホルモンには以下のようなものがあります。
1.成長ホルモン
「寝る子は育つ」と言いますが、[「深い睡眠」に入ると脳の<下垂体>というところから成長ホルモン(GH)が分泌され細胞の新陳代謝を促し、皮膚や筋肉、骨などを成長させたり、日中の活動で傷ついた筋肉や内臓を効率よく修復する働きがあります。
・前の日にけがした傷口が次の日の朝には塞がっていた。
・前の日にやった足の捻挫の腫れが朝には引いていた。
・前の日の夜に解決できなかった問題が朝起きたら難なく解けた。
こんな体験ありませんか?
これらはすべて成長ホルモンの分泌量と深い関係があるのです。
言ってみれば、「睡眠」は<脳とカラダの再生工場>のようなもので、脳とカラダの健康維持のために「睡眠」は必要不可欠な要素なのです。
2.黄体形成ホルモン(LH)
脳の<下垂体>から分泌される黄体形成ホルモン(LH)は男女とも第二次性徴期になると睡眠中に分泌が高まります。
睡眠中に多量に分泌される性腺刺激ホルモンと性ホルモンによって二次性徴が促進されます。
しっかり「眠る」ことは思春期のカラダにとっても非常に重要である事が解ります。
3.メラトニン
睡眠中の身体機能回復に欠かせないホルモンで、自然治癒能力を向上させるのに必要不可欠なホルモンです。
体温や他のホルモンの分泌調整の作用を持っています。
脳の<視交差上核>というところに光の刺激が入るとおよそ14時間後にメラトニンが分泌されます。
メラトニンは体内に「眠気」を誘います。
ということで、睡眠時には各種の必要なホルモンも分泌されるというわけですから出来るだけきちんとした睡眠をとる習慣を身に付けることが大切といえますね。
そんなことはわかっているが、実際に不眠がちになるのをなんとかしたいという場合にそれが重症であればお医者さんのお世話になるしかないでしょう。
しかるべき処置をとることによって改善される方向に向かわせるというものですね。
しかし、生活習慣を見直すことや睡眠をとる努力をすることによって改善される場合もあるでしょう。というよりそうしないといつまで経っても不眠に悩まされるということになりかねません。
次からは、快適な睡眠をとるための情報を提供していきます。
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