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今あなたは副作用の心配をしながらも「眠れない」という現実を回避するために睡眠薬を服用していませんか?
「睡眠薬を使って薬が手放せなくなったらどうしよう・・・」
「続けて服用すると効かなくなるのでは?」
「何か副作用が出るのでは?」
「今睡眠薬を使ってるけどできれば止めたいんだけど・・・」
お医者さんに行って「眠れないんです」というとけっこう間単に「睡眠薬」は手に入ってしまうのでついつい気軽に服用してしまいがちですが、本当に大丈夫なのでしょうか?
確かに一昔前の睡眠薬に比べて最近の睡眠薬は「依存性」や「耐性」を克服したものが開発されて安全性は向上しているようですが、だからといって完全に副作用が無くなり不安が解消されているわけではありません。
経口薬というのは、胃の粘膜を傷つけてしまって胃の痛みを感じる事もありますし、腸から吸収された薬の成分は一度肝臓で代謝されて作用を及ぼすため、肝臓にかかる「負担」はかなりのものです。
「薬剤性肝障害」なんて病気もあるんですよ、実際・・・。
ほかに何か病気をお持ちでそちらの薬も服用していれば、当然「薬の飲み合わせ」によって「副作用」が起きる可能性も否定できません。
こういった事実を知った上で、自分が服用している薬についてあるいはこれから服用する薬について分からない事や不安な事などがあったら積極的にお医者さんに相談しましょう。
もし、そういった疑問や質問に対して誠意を持った回答をもらえないようなら「他のお医者さんに行ってみる」くらいの気構えがあっても良いのではないでしょうか?
後になって、
「そんなこと知らなかった・・・。」
「あの時、聞いておけば・・・。」
なんて、思っても遅いのです。
私が治療している患者さんの中にも
・「お医者さんって何となく怖くて聞けないんだよね。」
・「悪い印象与えると嫌だから・・・。」
・「なんか急がしそうで悪いから。」
なんて言う方がいますが、その時私が必ず言う事は、
「なに言ってるの!薬を飲むのはお医者さんじゃなくて○○さんなんだよ。○○さんが自分の飲む薬について知らなくてどうするの!!」
ということです。
少しでも不安や疑問があったら「聞いてみる」勇気を持ちましょう。
では、ここからは薬についてお話を進めていきましょう。
睡眠薬の種類
そもそも「睡眠薬」とはどういった作用を持つものなのでしょうか?
実は「睡眠薬」とは<正常の睡眠と似た中枢神経抑制状態を起こす薬>のことです。
もうちょっと簡単にいうと、「強制的に脳の働きに抑制をかける」ものです。
睡眠薬の代表的なものは以下の3つです。
1.バルビツール酸系・非バルビツール酸系
2.ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系
3.その他
では、もう少し詳しく見ていきましょう。
1.バルビツール酸系・非バルビツール酸系
バルビツール酸系・非バルビツール酸系には以下の特徴があります。
・脳全体を麻痺させる作用があります。
・連用すると依存性が強くなり、アルコールの禁断症状に似た症状が現れます。
・少量で鎮静、中等量で催眠、多量で麻酔、過量で昏睡から死に至らせます。
・10数年前まで主流でしたが、現在は手術前の麻酔薬としての使用が主です。
<<バルビツール酸系の睡眠薬>>
作用型 | 成分名 | 商品名 |
短期型 | ヘキソバルビタール | チクロバン |
中間型 | ペントバルビタール | ラボナ |
アモバルビタール | イソミタール |
長期型 | バルビタール | バルビタール「ホエイ」 |
フェノバルビタール | フェノバール |
2.ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系
ベンゾジアゼピン系の特徴は以下のとおりです。
・副作用が少ない睡眠薬で現在の主流(95%はこのタイプ)です。
・「睡眠導入剤」というような言われ方をするお薬もこのタイプが多いです。
・数ヶ月程度なら問題ありませんが、長期の服用で耐性を形成することがあります。
・大脳辺縁系に作用し、不安や緊張を和らげ二次的に睡眠を引き起こします。
・超短時間作用型、短時間作用型、中間作用型、長時間作用型に分類されます。
・抗不安作用、催眠作用、筋弛緩作用、抗けいれん作用があります。
・催眠作用の特徴は、入眠するまでの時間短縮、入眠後覚醒の頻度・時間の減少、
睡眠時間の延長が挙げられます。
・副作用は少ない方ですが、出現する可能性があるものとしては、
(1)長時間作用型で、翌日まで作用を持ち越してしまうことがあること。
(2)短時間型のものを急に連用を止めると不安感が強くなるということ。
(3)アルコールと併用すると記憶喪失になるということ。
などが挙げられます。
*注意したい点としては、妊娠中の服用で奇形児など障害児を出産した例が普通
に比べて多いという報告や母乳中に移行するものが多いため、授乳期の使用に
も注意が必要という報告があることでしょう。
ちなみに参考までにそれぞれの作用型の説明を補足しておきます。
(1)超短期作用型
・15分〜30分くらいで効果が出始める「速攻型」です。
・薬の持続時間は「短い」です。
・主に「寝つきが悪いとき」に使用されることが多いです。
・超短期作用型は「不眠」治療の第一選択の薬になることが多いようです。
(2)短時間作用型
・15分〜60分くらいで効果が出始めます。
・薬の持続時間は「やや短め」です。
・主に「寝つきが悪いとき」や「夜中に目が覚めてしまうとき」に使用されることが
多いようです。
(3)中間作用型
・30分〜60分くらいで効果が出始めます。
・持続時間は「やや長め」です。
・主に「夜中に目が覚めてしまうとき」や「早朝目が覚めてしまうとき」に使用され
ることが多いようです。
(4)長時間作用型
・ゆっくり効果が出始め長時間の持続時間があります。
・神経症やうつ病などによる「不眠」のときに使用されることが多いようです。
<<ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬>>
対象 | 作用型 | 成分名 | 商品名 | 特徴など |
入眠障害 | 超短時間作用型(6時間以内) | トリアゾラム | ハルシオン、アサシオン、カムリトンハルラック、テトラナイト、トリアラム、ネスゲン、バルレオン、フロサイン、ミンザイラ、ライトコール など | 服用から就寝までの一過性健忘症が起きる事がある |
ゾビクロン | アモバン(非ベンゾジアゼピン系) | 舌に苦味を感じる事がある |
ゾルビデム | マイスリー(非ベンゾジアゼピン系) | 比較的新しい薬で依存性がかなりおさえられているらしい |
短時間作用型(12時間以内) | ブロチゾラム | レンドルミン、グッドミン、ゼストロミン、ソレントミン、シンベラミン、ノクスタール、ユリモラン、レドルバー、レンデム、ロンフルマン など |
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エチゾラム | デパス | 向精神薬・抗不安薬だが睡眠薬としても使用 |
ロルメタゼパム | エバミール、ロラメット |
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塩酸リルマザボン | リスミー |
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中途覚醒 | 中間作用型(24時間以内) | フルニトラゼパム | ロフビノール、サイレース、ビビットエース など |
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ニメタゼパム | エリミン |
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エスタゾラム | ユーロジン |
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ニトラゼパム | ネルボン、ベンサリン、カルスミン、チスボン、ノクタール、ネルナミン、ネルロレン、ノイクロニック、ノイマックス、ヒルスカミン など | てんかん治療薬としても使用される |
早朝覚醒 | 長期作用型(30時間以内) | ハロキサゾラム | ソメリン |
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フルラゼパム | インスミン |
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クアゼパム | ドラール |
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塩酸フルラゼパム | ベイジール、ダルメート |
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3.その他の睡眠薬
上記のもの以外にも昔から催眠効果があると言われているものや新しく開発された薬剤もあります。
・ セミコハク酸ブトクタミド(商品名:リストミンS)
レム睡眠時間を調整するタイプの不眠治療薬です。
・ 抱水クロラール(商品名:エスクレ抱水クロラール)
現在あまり使われていません。
けいれん作用があります。
・ ブロムワレリル尿素(商品名:ブロバリン)
習慣性が高く現在あまり使用されていません。
・ トリクロルエチルナトリウム(商品名:トリクロールシロップ)
・ ペルラピン (商品名:ヒプノジン)
・ 臭化カリウム(商品名:臭化カリウム)
・ ベゲタミン(商品名:ベゲタミンA、ベゲタミンB)
本来は向精神薬ですが、重度の不眠症では使用される事もあります。
・ 新ブロバリン
・ 抗ヒスタミン剤(商品名:ドリエル)
抗ヒスタミン作用により「眠気」を催します。
ワンポイントコラム
※睡眠薬の副作用について
睡眠薬を服用すると次に挙げるような副作用が起きる可能性があります。
また睡眠薬の長期服用はその用法、用量を守らないと「依存症」を併発する可能性もあります。
睡眠薬を服用開始する場合は医師の指示に従い正しい服用を心がけましょう。
また少しでも分からないことや不安なことがある場合は担当医に相談しましょう。
<<副作用と思われる主な症状>>
・眠気、疲労感は夜に飲んだ薬の効果が次の日に持ち越され
た時に起こります。
・頭がぼんやりするなどの症状も出る場合があります。
・全身の筋肉を弛緩させる作用があるので転倒して骨折など
をしないように注意が必要です。
・注意力、集中力、反射運動の能力低下に伴い細かい作業で
ミスをする可能性があります。
・仕事中の怪我や車の運転には注意が必要です。
・超短時間作用型、短時間作用型の睡眠薬とアルコールとの
併用で「記憶障害」が顕著に現われます。
<<睡眠薬服用中止の際の注意事項>>
睡眠薬の服用中に副作用と思われる症状が出たら必ずお医者さんに相談することが大事です。
もし、相談に行った時に面倒くさがるような対応だったら他のお医者さんに相談しましょう。
また自分の判断で「眠れるようになった」と、独断で睡眠薬の服用を止めることはしてはいけません。場合によっては「反跳性不眠」といって、服用前よりも症状が悪化する危険もあります。
症状が改善してきた時の睡眠薬の服用継続の必要性もお医者さんとの相談の元で決定しましょう。
いずれにしても、お医者さんに「おんぶに抱っこ」で全ておまかせにせず、自分の為にも治療方針や薬に関して何か疑問などあったときにはどんどん質問しましょう。
不眠治療をしていく時に1番必要なのは、お医者さんと患者さんの信頼関係だと思います。
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