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実際に「睡眠」に関してどれくらいの日本人が不安や不満を持っていると思われますか?
「睡眠実態調査2002」(日本睡眠学会)によると、
・日本人の5人に1人は「十分眠れていない」と自覚している。
(約2500万人にあたります)
・「睡眠の質」に関して約60%の方が「良くない」と答えている。
・他国に比べて睡眠薬を使う人の割合が2倍近くに達している。
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と報告されています。
また、最近では「肥満症」の方に多く見られる「睡眠時無呼吸症候群」という病気が世間で騒がれていますが、この病気も日本の人口の約1〜2%、約200万人と推定されています。
現代の日本は生活環境の変化・多様化によってまさに「不眠大国」となりつつあるようです。
そもそも「睡眠」は何のために必要とされているのでしょうか?
実は、「睡眠」という行動には
「カラダの休息」と「ココロ(大脳)の休息」
という大きな役割があるのです。
「カラダの休息」というのは、
例えば、
・皮膚の新陳代謝を高め肌あれをきれいにする。
・昼間の活動で傷ついた細胞の修復をする。
・昼間使った筋肉を休ませる。
・体内を流れる血液を浄化する。
・内臓、特に肝臓や消化管の働きを活性化させる。
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といった「肉体的休息」のことを指します。
では、「ココロ(大脳)の休息」とはどういうことでしょう?
実は、大脳といっても特に「大脳皮質」という場所を休ませているのですが、この「大脳皮質」という場所は大脳の表面を覆っており、主に昼間の活動中に様々な刺激や情報を受ける場所で、実に「睡眠」の80%がこの「大脳の休息」の為のものなのです。
大脳がうまく休息できない状態が続くと様々な症状が現れます。
・いらいらしたりキレ易くなる。
・元気が無くなる。
・集中力がなくなる。
・注意力が散漫になる。
・内蔵機能が低下する。
・免疫力が低下する。
・日中の活動力・行動力が低下する。
・落ち着きが無くなる。
・善悪の区別がつかなくなる。
・成長期などでは、カラダの成長が悪くなる。
・そう状態、うつ状態を引き起こす。
・自律神経の障害を起こす。
・新陳代謝が悪くなる。
・基礎代謝が低下する。(体温が上がらない)
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と、ロクなことがありませんね。これだけをとってみても「ココロ(大脳)の休息」がいかに大切かがおわかりになると思います。
しかし、『あなたにも「睡眠」をコントロールする能力があります!』
日中活動した大脳は、夜になると<視床下部>という場所から「眠りなさい」という命令を受けて脳を休ませます。
本来、ひとの「睡眠」は、大脳の様々な働きによって調節されることで一つの命令系統がストレスを受けてもすぐに「眠れない」という症状を引き起こさずにサポートする体制が整っているのです。
しかし、現代の日本における急速な生活習慣の多様化・不規則化は人の体内時計を狂わせ、その結果大脳を休息させるために必要な「規則正しい睡眠」のリズムを崩壊させつつあるのです。
さらに生活習慣ばかりでなく人間関係の複雑化・多様化が人にストレスを与え、ますます「不眠」を助長するという結果になっているというのが実態といえますね。
これらを修正する方向に持っていくことによって、あなたにもきちんとした睡眠を取ることが出来るでしょう。
しっかりと睡眠が取れているとカラダの中では次のような現象がおこります。
・ 身体の各細胞の活性化
・ 骨の成長促進
・ 内臓臓器・諸器官の修復
・ 肌の新陳代謝促進
・ 自己の免疫力を向上
・ 脳内における記憶の整理
・ 活性酸素の分解・除去
・ 肝臓での各代謝促進
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どれをとっても人が健康に生活していくうえで必要で不可欠なものばかりです。
それでは、もう少し睡眠についての説明をしていきましょう。
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■参考
大脳による「眠り」の獲得
眠りの獲得には、実は「地球のリズム」が大きく関わります。
ここでいう「地球のリズム」とは、昼と夜が24時間という周期で1日を刻んでいるリズムです。
当たり前の事ですが太陽は朝になって東から昇り夕方になると西に沈みます。
人はこの地球と太陽のリズムを利用するため脳内に「松果体」という生体内時計を持ったのです。
この生体内時計は、人のカラダに「活動と休息」(サーカディアン・リズム)というリズムを持たせたのです。
そして、このリズムを持つことで人は大脳の休息を獲得したのです。
発達した大脳を持った人にとって「快適で十分満足できる睡眠」の獲得が、健康で精神的にも肉体的にも充足した生活を送るためにも必須であると言えるでしょう。
「よりよく生きる」には「よりよく眠る」こと
が重要なのです。
では、「睡眠」はどのように調節されているのでしょうか?
実は眠りの調節には2種類の方法があります。
「概日リズム方式」と「ホメオスタシス方式」です。
1.概日リズム方式(サーカディアン調節方式)
脳内に存在する生体内時計<松果体>に管理されている時間に依存する調節方式です。
人の体はもともと25時間の時間周期で管理されていますが、日の出の太陽の光を目でキャッチするとホルモン分泌や体温調節などを行って地球の1日周期に体を合わせていきます。これを「概日リズム」といいます。
2.ホメオスタシス方式
「眠らせる脳」がコントロールする時間に依存されない調節方式です。
寝不足(睡眠不足量)の程度によって睡眠の質と量が決定されるというもので、断眠時間(寝ない時間)が長いほど深い眠りが多量に出現するという「跳ね返り現象」を利用しています。
この調節には「睡眠物質」が大きく関与しています。
※睡眠物質とは
「睡眠現象」を引き起こしたり継続させたりする役割がある物質の総称です。
現在40種類以上が発見されています。
「睡眠系神経」と一緒に働き、「覚醒系神経」の働きを抑制させ「眠気」を誘います。
覚醒時に発生した脳内の活性酸素を無毒化する作用を持っていて、
・ 酸化型グルタチオン ・ ウリジン ・ エンドロフィン ・ セロトニン
・ インターロイキン ・ ムラミルペプチド ・ PGD2
などの物質がこれにあたります。
このようにひとの「睡眠」は、大脳の様々な働きによって調節されることで一つの命令系統がストレスを受けてもすぐに「眠れない」という症状を引き起こさずにサポートする体制が整っているのです。
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